「客車普通列車」連結器外れる重大インシデント 大井川鐵道 緊急停止作動でけが人なし

大井川鐵道によると、大井川本線の臨時普通列車が2023年11月28日(火)14:45頃に家山駅を発車した直後、電気機関車(EL)と客車をつなぐ連結器が外れて分離し、列車が緊急停止する事故が発生しました。

西武鉄道から譲受し、蒸気機関車(SL)列車の補助機関車を中心に運用している大井川鉄道E31形電気機関車(画像提供:大井川鐵道)
西武鉄道から譲受し、蒸気機関車(SL)列車の補助機関車を中心に運用している大井川鉄道E31形電気機関車(画像提供:大井川鐵道)

「昭和の日常」を味わえる特別企画列車で何が起きた?

同社では昭和の日常だった懐かしい鉄道風景を味わえる企画として、ELが旧型客車をけん引する「客車普通列車」を10月〜12月の一部日程に期間限定で運行しています。6月〜7月にかけて初めて実施して好評だった企画の第2弾で、大雨災害から10月1日(日)に復旧した家山駅〜川根温泉笹間渡駅間を含む大井川沿いの区間を1日3往復、乗車券のみで乗車できる普通列車として臨時運行しています。

その客車列車のうち、1往復目の復路として家山駅から金谷駅へ向かう「第52列車」で今回の列車分離事故が発生しました。始発の家山駅を発車した直後、先頭でけん引する「E31形」ELと、直後に連結していた「オハフ33形」客車の連結器が突然外れました。

このとき、客車に備えられていた安全装置がただちに機能して自動的に非常ブレーキがかかり、列車は家山駅のホーム終端から約100mの地点で緊急停止しました。列車には81名の乗客がおり、機関士、機関助士、車掌、車内販売員を合わせた5名も乗務していましたが、いずれにもけが人はなかったとのことです。

その後、乗務員の誘導により乗客は線路に降りて徒歩で家山駅まで移動し、16:30頃に到着した代行バスで金谷駅方面へ向かいました。当日は事故以降、大井川本線では列車の運転を見合わせていましたが、11月29日(水)始発から通常ダイヤでの運転が再開しています。

(大井川鐵道の臨時普通列車で発生した列車分離事故、「普通客車列車」の運転計画など詳細は下の図表を参照)

【時刻表で解説】大井川鐵道の臨時普通列車で発生した列車分離事故、「普通客車列車」の運転計画

発車前に行われた機関車の「機回し」作業

連結器が外れた原因について大井川鐵道は調査中としています。また、国土交通省は大きな事故につながりかねない重大インシデントと認定し、近日中に運輸安全委員会が調査に入ります。

事故を起こした第52列車は、新金谷駅から家山駅まで運行した第51列車の折り返し運用です。家山駅での折り返し時間には、客車をけん引していたELをいったん切り離し、反対側の先頭に移動させて再び客車に連結する「機回し」と呼ばれる作業を行うことが予告されていました。この機回しの作業手順に問題がなかったか、そもそもの連結器に不具合があったかどうかが焦点となりそうです。

大井川鐵道は「走行中に連結器が外れる様な事は交通事業者としてはあってはならないことで、原因を追究するとともに再発防止に努める」とコメントしています。国による調査に全面的に協力し、再発防止策や安全対策がまとまったら速やかに報告するとしています。

なお、11月30日(木)に予定していた次回の普通客車列車の運転は事故の影響で取り止めることを決めました。12月以降の運転計画について変更がある場合は公式サイトやSNSなどで告知するとのことです。

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